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固形化経腸栄養剤の実施における栄養剤の安定性と安全性の評価
−調理によるビタミンの変化と細菌学的変化−
蟹江治郎、 鈴木裕介、 赤津裕康、 各務千鶴子
第8回 HEQ研究会 2003/09/27 |
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【目的】
我々は寒天を用いて栄養剤のゲル化を行い,重力に抗してその形状が保たれるものを“固形化経腸栄養剤”と定義し報告を行っている.今回我々は固形化経腸栄養剤について,調理によるビタミン含有量の変化と,調理後の細菌学的変化を検討する事により,固形化経腸栄養剤の実施における安定性と安全性の評価を行ったため報告する.
【方法】
1.経腸栄養剤加熱によるビタミン崩壊の程度
経腸栄養剤を60℃および80℃に加熱し続けレチノール(Vit.A),サイアミン(Vit.B1),リボフラビン(Vit.B2),総アスコルビン酸(Vit.C)の4項目の測定を行った.
2.固形化経腸栄養剤調理によるビタミン崩壊の程度
固形化経腸栄養剤の調理を行いレチノール,サイアミン,リボフラビン,総アスコルビン酸の4項目の測定を行った.検体は室温および5℃の2条件用意し測定した.
3.固形化経腸栄養剤の保存期間と細菌学的検討
固形化経腸栄養剤の調理を行い調理後72時間以内の一般細菌数を測定した.検体は5℃冷蔵庫内および室温蛍光灯下の2条件用意し測定し,2回の測定を行った.
【結果】
1.経腸栄養剤加熱によるビタミン崩壊の程度
60℃に加熱した検体においては,何れの検体においてもビタミンの変化は認めなかった.一方,80℃に加熱した検体では,サイアミンが加熱6時間後で加熱前の88.2%に,加熱24時間後で加熱前の60.1%に減少を認めた.
2.固形化経腸栄養剤調理によるビタミン崩壊の程度
固形化経腸栄養剤の調理に伴うビタミンの減少は認められなかった.
3.固形化経腸栄養剤の保存期間と細菌学的検討
5℃にて保存した検体においては調理後72時間以内は細菌数の増加を認めなかった.室温保存群では48時間後において1検体が可食限界を超える細菌数となり,72時間後においては両検体とも可食限界を超えた.
【結論】
今回の検討により,固形化経腸栄養剤を利用した経管栄養投与法は,その調理課程においてビタミンに対しての問題となる悪影響はなく,24時間以内の投与においては衛生学的な問題もないものと結論付ける.
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