内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
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固形化経腸栄養剤の投与を実現するための取り組みについて
蟹江治郎 各務千鶴子 赤津裕康 鈴木裕介
第8回 HEQ研究会  2003/09/27

【目的】
 我々は第7回HEQ研究会において,経管栄養剤が液体であることに起因して発生する胃食道逆流,栄養剤リーク,下痢に対して,経腸栄養剤を固形化する事により対応する方法を提案した.しかし,固形化経腸栄養剤の投与を実現するためには,調理と投与を円滑に行うための様々な工夫が必要である.今回我々は,先回の発表以後に行った,固形化経腸栄養剤の投与を実行するための工夫を報告したい.
【固形化剤の選択】
 我々は経腸栄養剤固形化の定義を“重力に抗してその形態が保たれる”ものとしている.そのためトロミ剤は固形化剤の対象とはしなかった.固形化剤として候補となったものとして,寒天,ゼラチン,全卵を挙げたが,ゼラチンは体温で液状化し,卵黄はカロリーに影響があるなどの理由により対象外とした.結果として安価,入手が容易,増粘効果がないなどの理由で寒天を選択した.
【粉末寒天の種類】
 粉末寒天には2分間の煮沸により溶解する通常の粉末寒天と,80度以上の熱湯で容易に溶解する即溶性粉末寒天がある.これらの比較では,通常の粉末寒天においては価格が安価である利点があり,即溶性粉末寒天では調理が容易であるという利点があった.
【固形化経腸栄養剤の投与容器】
 固形化経腸栄養剤の投与をするための容器にはプラスチックシリンジとドレッシングポットがある.プラスチックシリンジを用いた投与では注入に要する力が少なく済むため,比較的固い栄養剤の注入が可能であった.ドレッシングポットにおいては場所の占有が少なく,患者間の取り違えの危険が減少しうるといった利点を有した.
【固形化経腸栄養剤の調理法】
 我々は当初,経腸栄養剤を希釈した後に加温し,粉末寒天を投与する方法を提唱した.しかしこの方法では粉末寒天がダマになるなどの問題が生じ,充分な固形化を得るために必要以上の寒天が必要になることが判明した.現在では予め粉末寒天を水になじませた後に煮沸溶解し,人肌程度に加温した経腸栄養剤を混合撹拌して固形化することにより好感触を得ている.
【結語】
 現在全ての経管栄養剤が液体である以上,固形化経腸栄養剤の投与を行おうとする医療従事者は,固形化のための調理と代用品を利用した投与という過程を余儀なくされる.その様な問題点の克服には,予め固形化をして販売を行う経管栄養剤の存在を望まざるを得ない.
 

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