内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
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高齢者に対する内視鏡的胃瘻造設術の経験 
 −胃瘻造設後、経管栄養を離脱できた症例に対しての検討−
蟹江治郎 河野勤 大澤雅子 河野和彦 
赤津裕康、山本孝之 下方浩史 安藤富士子 井口昭久

第41回 日本老年医学会総会 1999/06/16

【目的】
 高齢者に対しての経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEG)施行後、経口摂取が可能となり経管栄養から離脱ができた症例についての検討を行った。
【対象と方法】
 平成4年9月より平成10年12月までに、名古屋大学医学部老年科と、その関連病院にて65才以上症例、342名のPEGが行われ、うち経口摂取が可能となり経管栄養から離脱可能であった症例について、基礎疾患、術前栄養投与法、再胃瘻造設の有無を検討した。
【結果】
 65歳以上の症例に対してのPEGは計342名で、基礎疾患は、痴呆や脳梗塞後遺症等であった。胃瘻施行前の栄養投与様式では、経鼻胃管213名、中心静脈栄養95名、経口摂取34名であった。栄養剤注入目的の症例のうち経口摂取が可能になった症例は46名(13.5%)であり、うち充分な経口摂取によりPEGから離脱可能であった症例は14名(4.1%)であった。
 基礎疾患別では、脳梗塞後遺症9名、痴呆5名であり、基礎疾患によるPEG離脱頻度に差はなかった。胃瘻施行前の栄養投与様式では、経鼻胃管8名、中心静脈栄養3名、経口摂取2名であり、投与様式によるPEG離脱頻度にも差はなかった。経管栄養からの離脱をするも、その後再び経管栄養の適応となり、再胃瘻造設となった症例は4名(28.6%)であった。
【考察】
 一般に胃瘻は、経鼻胃管に比し違和感が少なく、自己抜去が非常に困難である等の理由により、経口摂取が可能になるための要因を多く持つ。しかし今回の我々の経験では、経鼻胃管症例のみならず、他の栄養投与様式の症例に対しても均等に有効性があることが認められた。一方、経口摂取が可能になったため、一旦はPEG栄養から離脱できても、再び経管栄養投与の適応となる症例もあり、胃瘻の閉鎖に対しても、適応を慎重に選別すべきであると考える。
 

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