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経皮内視鏡的胃瘻造設術384名の施行経験
−在宅管理における有用性と、問題となる慢性期合併症の検討−
蟹江治郎 井口昭久
第55回 内視鏡学会総会 1999/05/11 |
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【目的】
経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEG)は、簡便で安全に行えることから、わが国でも普及しつつある。平成4年9月より平成10年11月までに、名古屋大学医学部老年科関連病院にて計384名に対してPEGが行われており、それらの症例での在宅管理における有用性と、問題となる慢性来合併症の検討について報告する。
【対象と方法】
対象は長期経管栄養を必要とする症例、または非可逆性の腸管減圧を必要とする計384症例(男性153名、女性231名、平均年齢は77.4才)。うち、胃瘻造設が可能であった378症例に対して、在宅管理への移行の割合、術後慢性期合併症の頻度について観察を行った。
【結果】
施行可能症例378名中、在宅管理が可能になった症例は45名(16.2%)であった。うち永続的な入院管理を目的としない一般市中病院の症例は合計128名で、うち在宅管理が可能になった症例は42名(32.8%)、転院が可能になった症例は18名(14.1%)であった。瘻孔完成後に認められる慢性期合併症は、45名(16.2%)に認められた。高頻度であったのは、チューブ再挿入不能12名と嘔吐回数の増加11名であった。他には瘻孔からの栄養剤リーク8名、チューブ接触による潰瘍の出現7名、チューブ誤挿入4名、バンパー埋没症候群2名、チューブによる幽門狭窄1名であった。合併症により状態が急変した症例としては、チューブ誤挿入により急性汎発性腹膜炎を来した症例が3名、胃潰瘍出血による高度貧血のため輸血を必要とした症例が1名であった。悪性疾患症例は計14名で、うち2名は退院が可能になり、残りの12名中6名が外出または外泊が可能となった。
【まとめ】
1.384名に対しPEGを行い、うち278名が施行可能であった。 2.一般市中病院におけるPEGでは、49.0%の症例が退院可能となり、32.8%の症例が在宅管理となった。 3.慢性期合併症は16.2%に認め、チューブ再挿入不能と嘔吐回数の増加が高頻度であった。 4.チューブ誤挿入の確認が不十分であった症例は、急性汎発性腹膜炎を発症した。 5.悪性疾患の症例の57.1%は外出または退院が可能になった。
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