内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
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経皮内視鏡的胃瘻造設術を用いた栄養管理
 −瘻孔完成後合併症と栄養チューブの開発−
蟹江治郎 河野和彦 河野勤 赤津裕康 山本孝之 下方浩史 安藤富士子 井口昭久
第3回 HEQ研究会 1998/08/08

 経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEG)の普及につれ,慢性期すなわち瘻孔完成後にみられる合併症も明らかとなりつつある.今回我々は,それらの合併症を考察するとともに,合併症の発生を未然に防ぐチューブの開発を行ったため報告をする.
【瘻孔完成後合併症とその頻度】
 平成4年6月より平成10年5月までに,名古屋大学医学部老年科及びその関連病院で行われたPEGは合計347名である.その全症例に対して合併症の有無を観察し,術後三ヶ月以後に発生した合併症を瘻孔完成後合併症とした。その結果、その合併症の頻度としては嘔吐回数増加が11名、チューブ再挿入不能が10名、瘻孔からの栄養剤リークが7名、胃潰瘍が6名、チューブ誤挿入が4名、バンパー埋没症候群が2名であった。
【瘻孔完成後合併症の発生要因】
1. 嘔吐回数増加
 複合要因が考えうるが、経皮胃瘻による胃壁固定による胃排泄能の低下が一因の可能性がある。
2. チューブ再挿入不能、チューブ誤挿入
 胃瘻チューブの交換が容易となる要素には、チューブの経と挿入時の抵抗がある。一般的にはチューブは、太径なほど挿入は容易である。また胃内固定板がマレコット型またはマッシュルーム型の物は交換時の抵抗が強く、バルーン型の物は抵抗が少ない。
3. 栄養剤リーク
 やせ型の衰弱した症例に多い。発生原因は不明だが、バンパー埋没症候群への移行期に見られる場合がある。
4. 胃潰瘍
 チューブが接触する胃後壁に多く、胃内固定板から突出物があるチューブで高頻度に発生することから、チューブの接触刺激に伴うものと考えられる。
5. バンパー埋没症候群
 胃内固定板と体外固定板の間隔が狭いことにより、胃-腹壁間に疎血領域が生じることにより発生する。
【胃瘻専用チューブの開発】
 以上の合併症の発生をふまえた上で、我々は新たな胃瘻チューブの開発を行った。その工夫点としては、・チューブの太径化、・極力胃後壁に鈍的に接触するバルーンの開発、・胃-腹壁間に疎血領域が生じにくい体外固定板の開発があげられる。また介護を行い易いようチューブの構造の工夫を行った。
 

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