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経皮内視鏡的胃瘻造設術 術後合併症の経験
−胃潰瘍発生例についての検討−
蟹江治郎 大谷由幸 藤野均 中江冶道 前田豊 河野勤 國井伸 井口昭久
第54回 内視鏡学会総会 1997/11/29 |
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【目的】
経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEG)施行に伴う合併症には,急性期合併症と慢性期合併症がある.今回我々は、術後慢性期に発生する合併症のうち,しばしば重篤なものとなりうる胃潰瘍の発生について検討したので報告する.
【対象と方法】
平成4年9月より平成9年4月までに,名古屋大学医学部老年科と,その関連病院にて合計271名に対してPEGが行われた.うち術後に内視鏡を行った症例は47名であり,それらの全例について発症時の挿入時のカテーテルの種類,H2blocker使用の有無,転帰について調べた.
【結果】
PEG術後に内視鏡検査を行った47名中,胃潰瘍が発見された症例は7名であった.発見時に挿入されていたカテーテルは,マルコットカテーテル型式のものが4名,バルーンカテーテル型式のものが2名,固定式のものが1名であった.胃潰瘍の発生箇所は,6名がカテーテル挿入部反対側の胃後壁粘膜,1名は胃内固定版が接触する胃前壁であった.後壁に潰瘍を形成したカテーテルは,いずれも胃粘膜に対し鋭的に接触するものであった.内視鏡施行時のH2blocker使用は,内視鏡挿入時正常群が40名中二名(5%),潰瘍形成群7名中一名(14.3%)であった.潰瘍形成により死亡または手術になった例はなかった.
【考察】
術後、PEGカテーテルの接触に伴う合併走についての報告は少ない.しかしこの発生は稀なもにではなかった.また,この発生はカテーテルが接触する胃後壁部に鋭的に接触するものに多く発生する可能性があり,今後はその問題点を考慮したカテーテルのデザインが必要と考えられる. |
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