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高齢者に対する経皮内視鏡的胃瘻造設術300例の施行経験
-有用性と問題点について-
蟹江治郎、河野和彦 、赤津裕康 ,山本孝之、下方浩史
、井口昭久
第一回 高齢者介護、看護、医療フォーラム
1997/10/18 |
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【目的】
経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEG)は,容易かつ侵酬が少ないため,現在普及しつつある.名古屋大学老年科およびその関連病院においても平成8年8月までに300名に対しのPEGを行っており,その経験について報告する.
【対象と方法】
施行対象者は,35歳から99歳(平均年齢77.0才)までの計300名で,うち施行不能者は6名であった.基礎疾患の多くは痴呆や脳血管障害で,施行方法および回数は,Push法104名,Pull法86名,introducer法104名であった.
【結果】
術後急性期の合併症は計98回で,感染性合併症は66回,非感染性合併症は32回であった.術後急性期感染性合併症の主なものは呼吸期感染症と創部感染症であり,非感染性合併症ではカテーテルトラブルが主なものであった.一方,慢性期合併症においては嘔吐回数の増加が多かった.
PEGの術前に抑制処置を行っていた症例は190名であったが,術後その処置が不要になった症例は94名,緩和された症例は42名であった.術後に表情が豊かになったり発語が増えるなど,状態の改善が観察された症例は242名であった.また悪性腫瘍例に対してのPEGも,栄養投与目的と減圧目的の何れの場合においても有効で,患者のQOLを改善し得た.
【結論】
経皮内視鏡的胃瘻造設術の急性期および慢性期合併症は稀なものではない.しかし,必要十分な管理を行えばその施行は可能であり,慢性期における管理の簡便化,そして患者のQOLの改善を考えれば,その実施はきわめて有用な行為である.
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