内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
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経皮内視鏡的胃瘻造設術 術後急性期に見られた感染性合併症の経験
 −術後処置の差について−
蟹江冶郎,大谷由幸 山本孝之,赤津裕康 下方浩史 井口昭久
第2回 HEQ研究会  1997/08

目的
 経皮内視鏡的胃瘻造設術(perctaneous endoscopic gastrostomy;PEG)を施行するにあたって,術後の抗生剤予防投与と経腸栄養剤注入の開始時期が,術後合併症にどの様に影響するのかについての報告は少ない.現在行われているPEGの術後管理は,従来多く行われていた開腹による胃瘻造設術の経験をもとに推定され行われている.この研究において,PEGの術後管理と,感染性合併症の関係について検討を行った.
方法
 271回にわたるPEGの経験の病歴が検討された.症例は,その術後の経腸栄養開始方法より,groupT(術後5日以降に経腸栄養剤の注入を開始する群),groupU(術後24時間以内から点滴用乳酸加リンゲル剤の注入を、点滴用注入キットを利用して開始する群),そしてgroup・(術後24時間以内から通常の経腸栄養剤の注入を開始する群)の三群に分けた.また術後の抗生剤の使用の有無により二群に分け、合計六群として検討された.統計上の分析は,chi-square検定,Cochran-Mantel-Haenszel検定および多重ロジスティック検定を利用して行われた.
結果
 術後急性期の感染性合併症の主なものは,局所皮膚感染と術後呼吸器感染であった.局所皮膚感染の発生頻度は,抗生剤使用の有無よる変化はなく,経腸栄養の開始様式に強く相関した.方法間での差は,Push/Pull法はIntroducer法に比して,高頻度であった.一方,術後呼吸器感染の発生頻度は,抗生剤の術後投与により有意に減少し,経腸栄養の開始様式には関係しなかった.胃瘻造設の方法間においても差はなかった.
結論
 局所皮膚感染は,術後経腸栄養投与開始時期との関連しており,抗生剤の使用との関連は低い.一方,術後呼吸器感染予防に対して抗生剤の予防投与は有効であると考えられる.術直後からの点滴用乳酸加リンゲル剤の注入を、点滴用注入キットを利用して開始する方法は,術後の局所皮膚感染に対して有効な経腸栄養開始方法であると考えられる.
 

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