内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
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高齢者悪性腫瘍症例に対する経皮内視鏡的胃瘻造設術の経験
蟹江治郎 河野和彦 山本孝之 赤津裕康 井口昭久
第39回 日本老年医学会総会 1997/06

【目的】
 経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEG)は,容易かつ侵酬が少ないため,現在普及しつつある.我々も平成8年5月までに243名に対し計256回のPEGを行っているが、うち6名が悪性腫瘍の高齢者であったためその経験について報告する.
【対象と方法】
 施行対象者は,61歳から86歳までの計6名.基礎疾患は全例が胃癌であった.施行目的は,癌性悪液質による食指不振に対しての栄養投与目的が3名,噴門部通過障害によるものが2名,癌性腹膜炎に対しての減圧目的が1名であった.施行方法は,Push法,Pull法,introducer法ともそれぞれ2名ずつであった.
【結果】
 合併症は創部感染2名,術後発熱1名,胃内バルーンによる幽門狭窄1名で,狭窄例は再胃瘻造設を必要とした.術後は,栄養投与目的の5名に対しては,一時的にIVHの中止が可能となり,内2名が在宅管理が可能となった.胃減圧目的に施行した症例は,イレウス管の抜去が行い得るとともに,流動物の経口摂取が可能になった.
【考察】
 末期癌症例に対しての治療方針は,その進行度や症状のみならず,本人の人生観にも配慮する必要があるため,その決定には時として難渋を極める場合がある.ましてや高齢者の場合には,手術不能例や手術拒否例が多い傾向にある.
 今回我々は,癌性悪液質または通過障害によりIVHを必要としていた5症例に対してP.E.G.を施行したが,その全例に対して一時的にでもIVHを中止することが可能であった.また,その内の在宅治療の強い症例に対しては,退院も可能であった.そして癌性腹膜炎による腸閉塞を来していた1症例に対してもP.E.G.を行い,イレウス管を抜去し得たのみならず,流動物の経口摂取も可能になり,短時間の外出も可能となった.
 それらの経験により,高齢の末期癌症例でIVHを必要とされるも,比較的全身状態の良い症例に対しても,本人のQOLと高める目的でのP.E.G.が必要になる場合があると考える.
 

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