内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
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経皮内視鏡的胃瘻造設術 術後急性期に見られた感染性合併症の経験
 −術後処置の差について−
蟹江治郎 大谷由幸 藤野 均 前田 豊 井口昭久
第53回 内視鏡学会総会 1997/04/20

【目的】
 経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEG)施行後の急性期感染性合併症は、主として創部感染症と呼吸器感染症などである。今回我々は、術後行っている処置が、これらの合併症に対し、どれほどの影響があるかについて検討したので報告する。
【対象と方法】
 平成4年9月より平成8年9月までに、名古屋大学医学部老年科と、その関連病院にて合計237回のPEGが行われた。それら全症例に対して術後抗生剤の投与の有無及び、術後経腸栄養剤の開始時期の差により合併症の頻度に差がないかを検討した。術後、抗生剤の予防投与に関しては、投与を行った群(以下AB(+)群)と、行わなかった群(以下AB(-)群)の2群に分けて検討した。
 また、術後経腸栄養剤の投与は、術後1日目より通常の経腸栄養剤の投与を開始した群(以下ED群)、術後1日目より5日目まで無菌の経腸栄養剤(点滴用の乳酸加リンゲル液を使用)を投与し、その後通常の経腸栄養剤の投与を開始した群(以下DIV群)、術後5日目より通常の経腸栄養剤の投与を開始した群(以下NPO群)の3群に分けて検討した。施行回数は、AB(+)群154回、AB(-)群78回、ED群74回、DIV群96回、NPO群62回であった。
【結果】
 急性期感染性合併症の発生は合計43回であり、最も皮下膿瘍と術後気管支炎が14回と12回で高頻度であった。皮下膿瘍の発生頻度は、AB(+)群10回(6.5%)、AB(-)群4回(5.4%)と抗生剤使用の有無での差は少なかった。経腸栄養開始時期ではED群10回(14%)、DIV群3回(3%)、NPO群1回(1.6%)で、早期より開始した群で高率に認められた。気管支炎及び肺炎の発生頻度は、AB(+)群10回(6.5%)、AB(-)群7回(8.9%)と抗生剤未使用群の方が高頻度であった。経腸栄養開始時期ではED群5回(6.8%)、DIV群6回(6.2%)、NPO群6回(9.6%)であった。
【考察】
 術後、経腸栄養剤投与を遅らせることは創部感染の発生頻度を減少させた。また、DIV群の如く滅菌した経腸栄養剤の投与は、術後1日目からの投与を行っているにも関わらず、創感染の抑制に関して絶食群と同様の効果があった。また術後抗生剤の投与は、呼吸器感染症の発生を減少し得たが、創部感染に対しての効果は少ないように思われた。
 

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