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経皮内視鏡的造設術におけるmajor complicationの三例
蟹江治郎、前田豊,水林竜一、伴和彦、大谷由一,井口昭久
第51回 内視鏡学会総会 1996/04/18 |
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経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下P.E.G.)は、簡便で安全に行いうることから、わが国でも着実に普及しつつある。平成4年9月より平成7年9月までに、名古屋大学医学部老年科関連病院にて、合計160回のP.E.G.が行われたが、実際の経験において、その合併症は稀なものではなかった。P.E.G.の合併症には、その重症度からmajor
complicationとminor complicationに分類される。我々の経験では、minor
complicationは77例、major complicationは3例であり、今回はその後者について報告する。
【症例】
症例1・79才女性。12Frバルーンカテーテルを使用するintroducer法で、経皮胃壁固定を行わずP.E.G.を行った。術後8日目に麻痺性イレウスを呈したため、胃瘻チューブを確認したところ、バルーンが破裂して胃壁腹壁間離開が生じ、腹腔内に経腸栄養剤が流出したため発症したものとわかった。
症例2・79才女性。マルコットカテーテルを使用するintroducer法で、経皮胃壁固定具を使用してP.E.G.を行った。術前より嚥下性肺炎を繰り返していたが、術後1日目より肺炎症状が出現し、術後9日目に死亡された。
症例3・79才女性。マルコットカテーテルを使用するpull法で、経皮胃壁固定具を使用してP.E.G.を行った。術後1日目より39度代の高熱と胆汁性嘔吐があり、胃瘻チューブ栄養管理を中止し経過をみていた。術後2日目より嘔吐は減少したものの、腹部レ線上neveauが出現しはじめたため、他病院へ転院し手術となった。手術所見では、胃瘻カテーテル挿入部の一部に胃壁腹壁間離開を認め、経腸栄養剤の腹腔へのleakが示唆された。
【考察】
1.P.E.G.においても呼吸器感染症は重要な合併症になりうる。2.胃壁固定を行っても、胃壁腹壁間離開による腹膜炎が生じうる。
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