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固形剤・半固形流動食 この15年のあゆみ
ふきあげ内科胃腸科クリニック 蟹江治郎
第4回 那須栄養リハビリ研究会 スポンサードシンポジウム |
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「蟹江先生,経鼻胃管の交換,お願いしま〜す.」 平成二年,卒後1年目,神経内科ローテートで勉強をさせて頂いていた私の仕事は,もっぱら経鼻胃管の交換であった.胃瘻やPTEGが選択できる現代と異なり,当時の経管栄養投与法といえば経鼻胃管が唯一の選択肢であった.経鼻胃管は鼻腔から胃に到達する細径の長い管であり,その形状故,
結果的に経管栄養で利用する栄養剤は液体である必要があった.ただ,医師1年目として駆け出しの私には,その様なことも理解が出来ず,「自分たちは固まった食物を食べているのに,経管栄養の症例は点滴のような液体の投与のみで大丈夫なのだろうか?」と漠然と感じていた.
時代も経過し経管栄養法も進歩を遂げる.特筆すべきは内視鏡を用いた胃瘻造設術(Percutaneous Endoscopic Gastrostomy,以下PEG)の選択が可能になったことである.PEGは経鼻胃管に比較してカテーテルのトラブルが少なく,留置に伴う患者の苦痛も少なく,美容上 でも有利なため急速に普及を遂げた.それまで,液体栄養に違和感を覚えていた筆者は ,PEGで用いるカテーテルが経鼻胃管のものと比較して太く短い部分に着目した.当時の経腸栄養剤は,細く長い 経鼻胃管から注入することを前提としていたため,液体である必要があった.しかし,太く短いPEGのカテーテルならば,我々が通常摂取している固形物と,同様の形状の栄養剤を注入できるのではないかと考えたのが,寒天固形化栄養の出発点である.
栄養剤を固めるといった概念がない時代に,固めるすべを考案することは容易なことではなかった.また,固めたとしても胃内で物性が変化してしまっては意味がない.その中で理想のゲル化剤として用いたのが寒天であり,その報告を行った17年前から今に至るまで
,その考案に問題点を感じないため寒天を用いた半固形化栄養を行っている.当初,寒天固形化栄養は自身で調理するより選択肢は無かったが,2007年には食品の製品が上市し2014年からは薬剤の製品も発売がなされた.本講演にあたっては,液体栄養のみが選択肢であったかつての状況
,半固形化栄養の普及の過程,現状における半固形化栄養の選択法と実施方法について解説をしたい. |
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