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半固形化栄養材の胃内環境での物性の変化
近畿中央病院 外科 飯島正平,
ふきあげ内科胃腸科クリニック 蟹江治郎
千里リハビリテーション病院 外科 合田文則
大阪市立総合医療センター 外科 西口幸雄
第2回 日本栄養材形状機能研究会 【シンポジウム】 2015/07/25 |
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胃瘻からの半固形化栄養では,投与前の栄養材の形状変化により,投与後の胃環境下でも同様の形態を維持するであろうと考えられているが,実際には投与時に構造は破壊され,胃内では緩やかな蠕動により胃液と希釈混合され,更には胃液による構造変化も危惧される.今回,蠕動運動を考慮して,容器を徐々に上下反転させる揺動撹拌器モデルを作成し,半固形化材による胃内での物性変化を検証した.
半固形化材は寒天,ペクチン,グアガムとし,市販の経腸栄養剤を半固形化し,胃瘻投与を想定し20Fr・30cmのチューブを通過後,着色人工胃液と混合した.栄養材と人工胃液の混合比は一回の食事で分泌される胃液液量と胃の拡張性を考慮し,栄養材/人工胃液混合比8/1倍,総混合量を全容量(250ml)の90%とし,2rpmの180°上下往復回転で37°C揺動撹拌した.5〜15分後にふるい(目開き300μm)に残る残渣と,ろ液の物性(粘度;E型粘度計;ずり速度3/s,動的粘弾性;TAインスツルメント ARG2;歪依存性(0.1〜1000%周波数1Hz),周波数依存性(0.1〜100ラd/S 歪率1%)を測定した.
着色肉眼観察では寒天,ペクチンでは胃液を吸収し着色かやや薄くなった.グアガムでは栄養材の胃液への溶け出しが疑われ,ふるい後残渣重量は寒天,ペクチンはほぼ100%だったが,グアガムでは44%にと留まった.グアガムの残渣部分はほとんど凝固した蛋白で,半固形化下栄養材の半分以上が溶出していた.寒天ペクチンともに残渣粘度は投与前後で大きく差は無く概ね8000mPaSで,動的性でも投与前と同じ強いゲル(周波数依存的に貯蔵弾性率,損失弾性率共に増加がなく,その比であるtanδが概ね0.1以下)に分類された.
半固形化としてグアガムなどのとろみでは投与後に溶出している可能性があり,投与後胃内でも強いゲルとして存在する寒天やペクチンによる半固形化が推奨されると考えられた. |
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