内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
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揺動撹拌器を用いた胃内環境下半固形栄養材の物性評価に関する実験的検証
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揺動撹拌器を用いた胃内環境下半固形栄養材の物性評価に関する実験的検証
 近畿中央病院 外科 飯島正平,
 ふきあげ内科胃腸科クリニック 蟹江治郎
 香川大医学病院 外科 合田文則,
 大阪市立総合医療センター 外科 西口幸雄郎

第1回 日本栄養材形状機能研究会 【研究会報告】  2014/09/28
 
 【目的】
 胃瘻からの栄養管理における半固形化栄養材の物性評価は現在製品自体の粘度評価が中心であるが,製品そのものと胃内への投与された後とではそれぞれ物性が同じである保証はない.実際には投与された栄養材は胃瘻を介した投与により破壊を受け,その後穏やかな蠕動により胃液と希釈混合され物性変化を期待しているものと推察される.今回このような言いない環境を考慮したモデルを作成し,粘度と動的粘弾性について試験的に検証した.
【方法】
 
胃の蠕動を考慮し,容器を徐々に上下を反転させる揺動撹拌器(RM-2M(ELMI))を採用し,速度1〜3rpmの180°上下揺動回転で振動した.希釈度により物性は影響されるため,条件設定のための検討を実施した.まず,栄養材と人工消化液の混合比は,栄養材/人工胃液混合比5/3〜8/1倍で検討した.次に,撹拌や混合に影響する容器のおよび容量は,そう混合比を全容量(250ml)の64〜96%とした.試料は主な2種の市販半固形化栄養材(A,B)を用い,20Fr30cmチューブを通過後着色人工胃液と混合,37℃下揺動撹拌し,5〜15分後にふるい(名開き300μm)に残る残渣と,ろ液の物性(粘度;ずり速度3/秒,動的粘弾)を測定した.資料は市販の2種類の半固形栄養材A,Bを使用し,人工胃液は着色し肉眼的な観察も加えた.
【結果】
 揺動撹拌により,着色肉眼観察では試料Aは胃液を吸収し,Bでは逆に溶出する傾向が見られた.設定の予備用量の減少でも撹拌状況は変わり残渣量は増えた.混合比ではその比に関係なくAでは残渣量がほぼ全量を維持,Bでは逆に約半量にまで減少した.揺動速度では影響がなかった.以上と胃内環境に関する文献等を参考に,試験条件は混合比8/1倍,予備容量10%,振動速度2rpmで5〜15分撹拌と設定した.この条件で得られた残渣物の粘度は両試料とも製品粘度より20〜30%低下,動的粘弾性では両資料とも残渣も資料も同じ強いゲルに分類されたが,捻出が懸念されるBでは溶液も弱いゲルの物性を示した.
【考察】
 
胃瘻から投与される半固形化栄養では,投与後の胃内での栄養材の物性の評価は欠かせない.そのため今回モデルを作成した.使用した二つの市販製品間では,胃液に対し吸収と溶出など全く逆の挙動がみられ,残渣物での製品物性は強いゲルとして評価された.今回のモデルは蠕動のように吸収機構は容器にないが,撹拌が穏やかに行われるモデルとしては利用可能であると考えられた.市販の半固形化製品では提供される製品情報だけでなく,今回のような投与後を想定したモデルでの物性評価と臨床評価を今後蓄積し,半固形化のエビデンスを総括する必要がある.

 

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