内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
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「病院から在宅までの半固形化栄養管理の実際」 〜 在宅・施設における現状 〜
ふきあげ内科胃腸科クリニック  蟹江治郎
第1回 日本栄養材形状機能研究会 【要望講演】  2014/09/28
 

 人口の高齢化に伴い,胃瘻による栄養管理が行われている症例は年々増加しており,現在は40万人以上ともいわれている.その増加に伴い胃瘻管理を受ける症例の合併症やケアの負担が問題視されているが,その課題の解決方法の一つとして,栄養材の形状を変化させる「半固形化」が注目されている.胃瘻の造設は急性期病院にて実施されるが,胃瘻の慢性期管理は在宅や介護施設にて行われる.栄養材の半固形化は胃瘻管理を行う上で,その合併症や介護負担の軽減のため必須の技術といえるが,現状,在宅や介護施設において,半固形化栄養がどの様な評価を受け,どの様に行われているかを既出の報告からまとめてみた.
まず在宅における半固形栄養の使用経験については,岡田らにより報告されている(1).この報告においては,在宅での半固形栄養管理では,液体栄養に比較して介護時間,投与時間,片づけ時間,見守り時間において有意差を持って減少が得られた.また,下痢の発生,便の状況,嘔吐の回数,栄養材リークの頻度は減少した.結果として,半固形化栄養投与法への介護者の感想は,88.2%の症例において改善との感想が得られ,半固形化により悪化と感じた介護者はいなかった.
施設における半固形栄養の使用経験については,横山らにより報告されている(2).この報告においては,調査対象の施設では,半固形化を知っている施設は約半数,現に投与している施設は約1/3であった.半固形栄養の受け入れが可能ないしは,製剤を持ち込むなら可能とした施設は半数にも満たず,半固形栄養の投与が煩雑と答えた施設も半数近く認めた.
以上より,在宅における半固形化栄養の現状については,その大半の症例で効果が実感され普及は困難ではないものと思われた.一方,施設の現状においては,その普及は途上段階にあり,知識や効果への理解に関しても充分とはいえなかった.そのため,今後も本研究会等を通じて,半固形化栄養材の啓蒙が必要なものと感じられた.

【参考文献】
(1) 岡田晋吾ほか.半固形経腸栄養剤の投与が介護負担に及ぼす影響.静脈経腸栄養 2011; 26: 63-70.
(2) 横山奈穂美ほか.介護施設における胃瘻管理に関する現状と課題 〜 半固形栄養投与法に関して (第2報) 〜.静脈経腸栄養 2013; 28(6): 85-88.

 

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