内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
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胃瘻造設時における内視鏡挿入方法による術後呼吸器感染症の発生頻度の比較

ふきあげ内科胃腸科クリニック 蟹江治郎
医療法人さわらび会 福祉村病院  赤津裕康

第16回 PEG・在宅医療研究会(HEQ)学術集会   2010/09/11

【目的】
 近年,上部消化管内視鏡の挿入方法は,経口のみならず経鼻からの挿入も可能となり普及しつつある.経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEG)についても,従来行われてきたプル/プッシュ法に加えイントロデューサー法も普及しつつある
が,後者の方法においては経鼻内視鏡を利用した造設が可能となっている.経鼻内視鏡の場合,咽頭麻酔は必要とせず咽頭刺激も少ないため,PEGの実施においては誤嚥の頻度が減少する事が考えられる.今回,我々は経口内視鏡によるPEGと経鼻内視鏡によるPEGとの間において,嚥下性呼吸器感染症の頻度を比較したため,その結果につき報告する.
【方法】
 対象症例はPEGが実施された症例で,術前より抗生剤の予防投与を行っていたを対象とした.それらの症例を経口内視鏡にてPEGを行った群(以下経口群)と,経鼻内視鏡にてPEGを行った群(以下経鼻群)に分類し,術後1週間以内の呼吸器感染症の発生頻度を比較検討した.なお経口群においては術前にキシロカインスプレーにより咽頭麻酔を実施した後内視鏡の挿入を行い,経鼻群では咽頭麻酔を行わず,鼻腔へのキシロカインスプレーのみ行い内視鏡を挿入した.経口群での造設手技はプッシュ法,プル法,イントロデューサー法の全ての方法で実施し,経鼻群の造設法は,イントロデューサー法である経皮腹壁的PEGキット(クリエートメディック社製)を用いて実施した.
【結果】
 対象となった症例数は合計192例(男性80名,女性112名,平均年齢は77.9才)で,経口群175名,経鼻群17名であった.呼吸器感染の発生数は経口群9名(5.1%)で,経鼻群では発生を認めなかった.また,内視鏡挿入時の吸痰の頻度は,経口群においてはほぼ全例で必要としたが,経鼻群では1名行ったのみであった.
【結論】
 経口群に比較して経鼻群は,PEG術後呼吸器感染症の発生頻度を減少しうる可能性が示唆された.
 

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