内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
業績紹介のページ


Copyright c 2002 ふきあげ内科胃腸科クリニック Allright reserved.
HOME

 
パネルディスカッション 「誤嚥性肺炎」 胃瘻について

ふきあげ内科胃腸科クリニック 蟹江治郎
第21回 日本老年医学会東海地方会  2010/10/16
 経皮内視鏡的胃瘻造設術は,嚥下障害により経口摂取が充分行えない高齢者に対する有効な栄養投与法である.胃瘻と経鼻胃管を比較すると,栄養管留置に際しての違和感,事故抜去の頻度,そして美容面などの理由から,長期の経管栄養管理を行う際は胃瘻栄養の方が適した方法といえる.一方,誤嚥性肺炎の発生頻度に関して,胃瘻栄養は経鼻胃管に比較し,その効果については一定の結論は得られていない.しかし,経鼻胃管における誤嚥の特有のリスクとして,栄養管のバイオフィルムの発生,鼻咽頭への物理的刺激による唾液分泌の増加,喉頭蓋への栄養管の接触による嚥下運動障害,そして栄養管による噴門機能低下があげられ,胃瘻栄養にはその様なリスクがないことも事実である.
 最近は胃瘻の栄養管が経鼻胃管の栄養管に比較して,太径で短いという特徴を持つことから,栄養剤を半固形化して注入すると方法も普及しつつある.また演者は,従来使用されている液体経腸栄養を粘度増強剤などで単に半固形化するに留まらず,寒天等によりゲル化を行い,重力に抗してその形状を保つ程度の固さとした“固形化栄養”を実施している.この形状により栄養材は胃瘻を介して胃内へ注入した後に,食物を咀嚼嚥下した胃内容物と同様の物性となる.その結果,液体経腸栄養剤に比較して流動性が低下することにより,胃食道逆流を軽減し,嚥下性呼吸器感染症の発生頻度を低下する効果が得られる.
 

  学会発表一覧へ戻る