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半固形栄養材の物性による注入後カテーテル内残留量の比較
ふきあげ内科胃腸科クリニック 蟹江治郎
第15回 PEG・在宅医療研究会(HEQ)学術集会 2010/09/04 |
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【目的】
近年,胃瘻から注入される栄養材は,液体から半固形へと変換しつつある.しかし,半固形栄養材は液体栄養材に比較して,注入後における胃瘻カテーテル内腔へ付着しやすい物性となっている.栄養材の付着は,カテーテル汚染の原因となり得ることから,半固形栄養材を選択する際は,その選択基準の一つとして,注入後のカテーテル内腔への付着の程度も考慮すべきである.今回,私は異なる物性の半固形栄養材の注入後のカテーテルへの付着の程度を比較したため,その結果につき報告する.
【方法】
実験1:市販液体栄養材を半固形化し比較を行った.検体Aは寒天を用い重力に抗してその形態を保たれる形状にしたもので,検体Bはキサンタンガムを用い20000Cpの粘度としたものとした.それらを胃瘻カテーテルへ充填した後,25mlの空気を送気して注入前後の重量を測定した.
実験2:対象は異なる物性の半固形化栄養材2検体である.検体Aは,寒天を用い”重力に抗してその形態が保たれる”いわゆる固形化栄養の定義を満たす市販製品で,検体Bは粘度が20000Cpの市販されている半固形栄養材である.それらの検体をチューブ型カテーテルに充填した後,シリンジから20mlの水を2秒で通水し,注入前のカテーテル重量と注入後のカテーテル重量の増減を測定した.なお実験は3回行いt検定にてその差を解析した.
【結果】
実験1:検体Aにおいて通気前後の重量の増加は0.09gであった.検体Bにおける重量の増加は平均10.5gであり後者に多くの重量増加を認めた.
実験2:検体Aにおいて通水前後の重量の増加は平均0gであった.検体Bにおける重量の増加は平均0.6gであった.その結果,検体Aと検体Bにおいては有意な差(p=0.00022)をもって,検体Bにおいて重量の増加を認め,注入後のカテーテルへの付着が多いことが示された.
【結論】
今回の検討においては,同じ半固形栄養材においても,注入後のカテーテルへの付着に差違を認めた.寒天による半固形栄養材においては,その付着性が低いことから,注入後の注水によりカテーテル内の汚染が最小限に抑えられるものと考える.
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