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形状変化栄養材の粘度表示の標準化に向けて
箕面市立病院 外科 飯島正平,
ふきあげ内科胃腸科クリニック 蟹江治郎
香川大学 外科 合田文則
大阪市立総合医療センター 外科 西口幸雄
第2回 日本栄養材形状機能研究会 【研究会報告】 2008/09/06 |
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【目的】
近年,胃瘻から栄養材(剤)投与時に,液体の栄養材から粘度を加え形状変化させた,いわゆる半固形化栄養剤を投与することが医療現場では多く行われるようになった.しかし現在の半固形栄養材は非ニュートン流体であり,条件によって粘度が大きく変わるという性質を持っている.したがって,粘度表示が同じでも,実際には物性が違う可能性があり,医療現場の混乱を招く恐れがある.そのため,粘度表記の標準化を試みたので報告する.
【方法】
各種条件下で様々な半固形栄養材を,B型粘度計,E型粘度計を用いて測定し,粘度を検討した,粘度は回転数(ずり速度)2大きく影響され,温度やサンプルの状況(そのまま測定するか細かく砕いてから測定するのか)によっても違いを生じる.測定環境により一度構造破壊された栄養材が元に戻る性質も評価するために,ヒステリスループを用いて評価した.また測定条件を統一する意味で長さ30センチ,内径4mmのチューブを通し,温度は25℃,ずり速度は胃内の動き考慮して10S-1を挟んで3〜4点で測定(2〜20S-1)とし,低回転数→高回転数→低回転数の順に回転数を変化させ,測定・待機時間は2分とした.
【結果】
表示粘度と測定値が一致しないものや今回の条件では測定できないものがあった.構造の破壊される寒天などでは測定による破壊が粘度に影響していた.B型粘度計では今回のずり速度では誤差の大きい測定となった.
【考察及び結論】
構造を破壊による影響を適切に評価するためにはヒステリスループは有効で,胃内を想定したずり速度の範囲で同一条件下での各種半固形化栄養材の粘度測定が可能であり,標準化が可能であると考えられた.特にE型粘度計では再現性のある粘度が得られ,物性を反映していた.しかし,B型粘度計は構造上栄養材の測定には適さなかった.半固形栄養材のような非ニュートン流体では測定条件の標準化が必要である. |
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