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高齢者に対する内視鏡的胃瘻造設術の経験
- 経腸栄養剤固形化による胃食道逆流の予防効果に対する検討
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蟹江治郎 各務千鶴子 赤津裕康 山本孝之 葛谷雅文 井口昭久
第44回 日本老年医学会総会 2002/06 |
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【目的】
高齢者嚥下困難症例に対しての経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEG)施行後,経腸栄養剤を固形化して投与することにより,胃食道逆流(以下GER)の予防効果の有無についての検討.
【対象と方法】
状態の安定したPEG術後症例17名に対し,造影剤を含有した経腸栄養剤を投与した後に胸部CT撮影を行い,経腸栄養剤のGERが,液体経腸栄養剤と固形経腸栄養剤の間に頻度差が生じるかの比較検討を行った.液体経腸栄養剤は従来から使用されている経腸栄養剤を使用した.また,その比較対象として用いた固形経腸栄養剤は,液体の経腸栄養剤を加熱して粉末寒天と撹拌し,カテーテルチップに吸引した後冷却して固形化し使用した.経腸栄養剤の投与方法は,液体のものは1回400mlを15分程度で投与を行い,固形のものは同じく1回400mlを経腸栄養剤をカテーテルチップより一度に注入を行った.GERの有無の判定のためのCTは栄養剤投与終了後30分に撮影を行い,放射線科専門医の読影によりGERの有無を評価した.
【結果】
従来より用いられている液状経腸栄養剤を投与した後に、胸部CT上GERを認めた症例は17名中10名(58.8%)であった。一方,固形化した経腸栄養剤を投与した後に胸部CT上GERを認めた症例は17名中4名(23.5%)と有意差をもって減少した.
【考察】
経腸栄養管理が行われている症例の合併症の1つに,GERに起因する嘔吐や嚥下性呼吸器感染症がある.PEGは経鼻胃管に比して口径が太く,長さも短いといった特徴があることから,今回のような固形化経腸栄養剤の投与が可能となる.この方法により今後経管栄養管理の選択肢が広がり,経管栄養合併症の減少,管理の簡便化が可能であると考える. |
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