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経皮内視鏡的胃瘻造設術術後、経管栄養を離脱し得た症例に対しての検討
蟹江治郎、河野勤、大澤雅子 赤津裕康、山本孝之 下方浩史 井口昭久
第4回 HEQ研究会 1999/07/31 |
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【目的】
経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEG)施行後、経口摂取が可能となり経管栄養から離脱ができた症例についての検討。
【対象と方法】
平成4年9月より平成11年5月までに、名古屋大学医学部老年科および、その関連病院にてPEGを施行された417名中、経口摂取が可能となり経管栄養から離脱可能であった症例について、基礎疾患、術前栄養投与法、再胃瘻造設の有無を検討した。
【結果】
対象期間中にPEGを施行した症例は計417名(男性168名、女性249名、平均年齢77.3歳)。主な基礎疾患は、痴呆、脳梗塞後遺症等であった。栄養剤注入目的の症例のうち経口摂取が可能になった症例は61名(14.6%)であり、うち必要充分な経口摂取によりPEGから離脱可能であった症例は23名(5.8%)であった。胃瘻栄養からの離脱が可能であった症例の基礎疾患では、脳梗塞後遺症14名、痴呆6名、髄膜炎後遺症、脊髄損傷、脳挫傷後遺症が各々1名で、脳梗塞後遺症を基礎疾患に持つ症例が有意に高頻度であった。胃瘻施行前の栄養投与様式では、経鼻胃管16名、中心静脈栄養4名、経口摂取3名であり、経口摂取非離脱群に比して投与様式によるPEG離脱頻度には差はなかった。経管栄養からの離脱をするも、その後再び経管栄養の適応となり、再胃瘻造設となった症例は5名(21.7
%)で、基礎疾患別の有意差はなかった。
【考察】
一般に胃瘻は経鼻胃管に比し違和感が少なく、構造上抜去が困難である等の理由により抑制処置が緩和され、また不穏状態の改善が見込まれるなどの理由により、経口摂取が可能になるための要因を多く持つ。しかし今回の我々の経験では、経鼻胃管症例のみならず、他の栄養投与様式の症例に対しても均等に有効性があることが認められた。一方、経口摂取が可能になったため、一旦はPEG栄養から離脱できても、再び経管栄養投与の適応となる症例もあり、胃瘻の閉鎖に対しても、適応を慎重に選別すべきであると考える。
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