内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
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非可逆性イレウスに対する減圧を目的とした内視鏡的胃瘻造設の経験
 −その有効性と経胃瘻的小腸挿管の必要性について−
蟹江治郎 大谷由幸 藤野均 中江治道 前田豊 赤津裕康 山本孝之 井口昭久
第5回 HEQ研究会  2000/07/29

【目的】
 経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEG)は経腸栄養投与の目的のみならず、悪性腫瘍などによる非可逆性イレウスに対する減圧の目的でも用いられる。今回我々は、市販のPEGキットを利用した胃内のみの減圧胃瘻の有効性の評価を行うとともに、その結果を踏まえた上で経胃瘻的小腸挿管の必要性について検討した。 
【対象】
 平成4年9月より平成12年5月までに、名古屋大学医学部老年科およびその関連病院にてPEGを施行された計509名中、悪性腫瘍による非可逆性の消化管減圧を必要とするとした11症例(男性6名、女性5名、平均年齢58.1才)。基礎疾患は癌性腹膜炎6名(大腸癌3名、卵巣癌2名、胃癌1名)、膵癌3名、胆管癌1名、胃癌1名であった。 
【方法】
 減圧手技は市販のキットを用いたPull法またはPush法で胃内減圧のみ行い、一期的な小腸挿管や胃内減圧チューブの挿管は施行しなかった。そして、それらの対象症例において有効性、経口摂取の有無、胃瘻を介した小腸挿管の必要性について検討を行った。 
【結果】
 対象症例11名の全てにおいてPEG施行後に減圧効果を認め、術前に挿入していたイレウス管の抜去が可能となった。PEG後に経口摂取が可能となった症例は8名(72.7%)で、うち固形物の摂取が可能となった症例は6名(54.5%)あった。減圧不全の症状として、腹部膨満感を認めた症例は4名(36.4%)で、うち2名はその程度が強く、経胃瘻的イレウス管挿入の適応と考えたが、1名は急速な全身状態の悪化により死亡され、もう1名は腹部膨満以外の自覚症状に欠けるため、本人の強い希望により施行し得なかった。 
【まとめ】
 1.悪性腫瘍による非可逆性イレウスに対し、PEGを用いた減圧を行いQOLの改善を認めた。 
 2.市販のPEGキットを用いて行った胃内のみの減圧でも、多くの症例は十分な減圧が得られた。
 3.胃瘻を介した経胃瘻的小腸挿管は一部の症例のみに必要となり、患者QOLを考慮しても、一期的に行うべきものではない。
 

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